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底辺声優の所感を読んで-又吉直樹との対比

底辺声優の所感を読んで-又吉直樹との対比

みなさんこんにちは。純白です。

皆さんには夢がありますか。

一口に夢といっても色々、ありますよね。

公務員になるのも夢だし、ミュージシャンとして東京ドームに立つのも夢です。

生活の安定を基盤とする夢もあれば、文字通り夢想の果てのようなギャンブル的夢もあります。

先日、abema newsで「底辺声優のリアル」と称した番組が放送されていました。

上記の動画なのですが、その中で声優を若くして引退した女性のnoteが取り上げられています。

それが「底辺声優の所感」です。これを書いたみちるさんは執筆当時24歳だったそうです。

何故、彼女が若くして声優を引退することを選んだのか。

まだ読んでいない人は、下記のnote記事を読んでください。

これについて、最近読んだ又吉直樹の小説「火花」と対比しながら語っていけたらと思います。

 

 

「底辺声優の所感」要約

泉水みちる(2020年1月31日引退)

まず、この8000文字にも及ぶ「底辺声優の所感」ですが、

彼女の主張は大きく分けて三つです。

  • 声優業は才能ゲーである
  • 声優には安定性がない
  • 声優には将来性がない

声優と才能

まず彼女が言及しているのは、声優業が才能に依拠している点であるということだ。

現在声優は、変わった特技・資格、楽器、ダンス、外国語……などなど、「演技」以外でも本人の能力に依拠する何かが多く求めら(れ)る。
出典: みちる『底辺声優の所感』

これを彼女は「消耗戦」と称した。

ここでいう「演技以外(付加価値)」とは年齢も含むのだそうだ。

(だからこそ、24歳という若さで引退を決意したのだろう)

演技を仕事とするべきはずの声優が、

それ以外の付加価値で評価されることに憤りを感じているのが読み取れる。

声優と安定性

次に安定性についても述べている。

上述の通り、声優には付加価値が求められるので、

それに付随する自己投資をしなくてはならない。

みちるさんは、まず声優になるために養成所に通い、

声優になってからも、歌やダンスを習っていたという。

この自己投資が出来ない人は声優として食べていくことができない。

つまり、夢を追うのにお金がかかることを指摘している。

声優と将来性

彼女が一番、気にしていると思われているのが将来性である。

志望者30万人を超えると言われる声優業界を目指す人間としては些か臆病に感じるが、

彼女は自分の心中の不安として以下のようなことを書いている。

売れなければ、一生アルバイト生活か? 保険も、年金もないのか? 学歴がないから就職できずに、ニートとか? その場合、親が死んだら?いや、売れてもわからない。売れても、いつ仕事がなくなるかわからない。
出典: みちる『底辺声優の所感』

声優を志半ばで諦めたとき、学歴がなく就職できないことを恐れているとのこと。

彼女は、一人称に「わたしたち」を使っている。

つまり、このnoteでは、これは売れていない声優の意識の総和だというのだ。

彼女には本当の意味で才能がなかった

この記事を読んで、自分が思ったこと。

それは「彼女には才能がないのだろう」ということだ。

声優業の技術的才能ではなく、夢を追う才能がないのだ。

自分は人間の性格は環境によって決定付けられ、適材適所もそれによって決まると思っている。

夢を追うということはギャンブル行為で、倍率が高ければ高いほど「バカ」になれないと

その足がすくみ上り、前を向き続けることが難しくなる。

先日、又吉直樹の「火花」を読んだ。

主人公の若手芸人である徳永が、先輩芸人神谷と出会い師匠と仰ぐ、

しかし、現実をいつまでも見ようとしない神谷との価値観のズレから

別々の道を歩むようになるという話である。

「火花」の中で、主人公の徳永は以下のように独白する。

僕達の永遠とも思えるほどの救い様のない日々は決して、ただの馬鹿騒ぎなんかではなかったと断言できる。僕達はきちんと恐怖を感じていた。親が年を重ねることを、恋人が年を重ねることを全てが間に合わなくなることを、心底恐れていた。
出典: 又吉直樹『火花(文春文庫)』

結局、徳永は不動産屋に就職するのだが、一方で神谷はずっと漫才師を辞めなかった。

徳永の思考と行動は、正にみちるさんそのものである。

資本主義社会では、国民の大多数が雇われの労働者となる。

その中で、職人や芸術家のような、自分の才能を信じて磨き続けることが

必要とされる職業で一生食べていこうと考えるならば、それはとても孤独なことである。

その孤独に耐えられる「狂気」を持っていなければ夢を追い続けることはできない。

「火花」の終盤で、徳永は、豊胸手術をした神谷(神谷は男性)と再会する。

豊胸した理由は、面白いと思ったからだそうだ。

このエピソードは狂っているが、ある意味、夢を追い続けることのメタファーであると言える。

狂っているか否か、それは才能なのだ。

承認欲求の薄い人の方が向いている

芸能人や声優、アーティストは承認欲求が強いと思われている。

だが、上記のように孤独耐性がある人の方が、実は向いているのだ。

みちるさんはnote内で、こう言っている。

勉強すればするほど、先生たちが認めてくれるのがうれしかった。先生たちは知的で視野が広く、穏やかで、いろんなことをわかりやすく教えてくれる。
出典: みちる『底辺声優の所感』

彼女が、本当に求めていたものは、努力を評価される環境と、

将来への道筋を示してしてくれる人間の存在だ。

正解のない芸能界とは真逆のものを彼女は求めている。

彼女は「底辺声優は社会構造の問題である」と書いているが、それは違う。

そもそも彼女と声優業界のニーズとウォンツが一致していなかっただけである。

一見すると、認められようと努力する人間は芸能界に向いていると思われがちだが、

それは違うのだと、この記事は教えてくれた。

まとめ

いかがだったでしょうか。

みちるさんのような挫折者も、声優界の倍率を上げ、

競争の原理を働かせることで

結果として業界に貢献しているのだと思います。

彼女の人生という視点で見れば、挫折だったのかもしれませんが、

マクロでみれば、彼女の存在が他の誰かに影響を与え、

自分たちの見るアニメをよりクオリティの高いものにしてくれています。

そういう意味では彼女の失敗は決して無駄ではなかったのでしょう。

以上、長くなりましたが「底辺声優の所感」を読んでの感想になります。

それでは、また次回の記事でお会いしましょう。さようなら。

 

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